リストのピアノ・ソナタロ短調 その4 |
『ピアノ・ソナタ ロ短調』は文学的で哲学的であり、かつ絵画的な面をもつ作品だと思います。30分少しある長い曲になりますが、その分表現する内容が深くなりますし、僕自身楽しみにしています。また、この曲は、ゲーテの代表的な戯曲である『ファウスト』を題材とにして書かれたといわれており、4つの楽章からなるソナタです。各章のテーマが『ファウスト』の主な登場人物をあらわすともいわれ、物語にそったさまざまな変奏で形を変えて曲がつくられているのがわかります。作曲の観念から、また文学的な観念からも素晴らしい作品であると感じます。『ファウスト』は、最終的に“社会貢献によって真の満足を得る”という壮大な物語でありますが、リスト自身も晩年は、教会の仕事に従事したと聞きますし、そういった意味でも、『ファウスト』の思考と共感するところがあったのではないかと思います。いろいろな感情のせめぎ合いという部分を表現したいと考えていますので、深く壮大な物語を読み進めるようにソナタを聴いていただけたら嬉しいです。
と、語っています。そして、この曲の演奏の前には、必ず各主題についてレクチャーしてから演奏されるのだそうです。