ハイティンク最後の指揮(オランダでは) |
コンセルトヘボウでブルックナーの7番を演奏をした映像です。(2019年6月15日)
オーケストラはオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団です。
シュトラウスの歌曲とブルックナーの7番の組み合わせです。
感動的な演奏会でした。
聴衆も流石で、演奏が終わり、ハイティンクがスコアを閉じるまでは微動だにしません。その後は、スタンディングオベーションです。
幸せな演奏会でした。
この映像の配信の日付を見ると6月15日なっています。ということは、ライブで配信されていたということでしょうか。オランダの人にとっても一大イベントだったと思います。
ハイティンクには、ロンドン交響楽団とのブルックナーの4番もあるのですが、以前見た時に、少々違和感を感じたのも事実です。ハイティンクらしい響きの美しさが感じられなかったのです。バービカンホールの特性上そうなのかもしれませんが、コンセルトヘボウでの演奏が一番ハイティンクの美質を感じさせるもののように思います。
今回、オケがヘボウでなく、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団だったのに驚いたのですが、考えてみたら、ハイティンクは若い頃、このオケの一員だったのですよね。演奏の精度から言えば超一流のオケとは差があるのでしょうが、そんなことを気にさせないオーラが演奏から溢れ出ていました。
本当に、出だしの音を聞いただけで、今回の演奏が尋常のものでないことが分かりました。
これは、ハイティンクの引退を飾るにふさわしい演奏会だと思います。
この後、9月まで、他のオケとの演奏会が残されていますが、それを含めても記念碑的な演奏会だったのではないでしょうか。
楽器を持たないで座っている女性の姿が何度か映るので、(お客さんでもないし、変だな。)と、不思議に思いました。
そのうち、(もしかしたら、この人は「あのため」に座っているのかな)と思うようになりました。
察しの良い方はお分かりになったと思いますが、第2楽章のシンバルです。その出番をひたすら待っているのではないかと思い、第2楽章を見ていると、クライマックスの直前に立ち上がり、「一発」鳴らしてくれました。
ということは、この演奏はノヴァーク(ノーヴァク)版ということですね。
私は、この文章を、「演奏」と「演奏会」という言葉を使い分けて書いています。純粋に「演奏」と言う部分で見たら、傷がないということはありません。音だけなら、ヘボウとセッション録音したCDの方が遥かに良いです。
ただ、団員がハイティンクの指揮に真摯に応えようとする姿が画面上から伝わってくるのが感動的なのです。